東京地方裁判所 昭和23年(ワ)4189号 判決
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(事実と判斷)
土地所有者である原告の建物收去土地明渡の請求に対して、該土地の占有者である被告等は、本件口頭弁論期日において、借地法第一〇条に基き、同地上の建物の買取請求の意思表示をなし、且つ、「右法条に所謂建物の『時価』には建物そのものの価格の外にその建物の有する場所的価格、換言すればその建物敷地の借地権の価格をも含むものと解すべきであるから、右建物の売買価格は、同建物そのものの価格プラスその敷地の借地権の価格である」と主張した。判決はこの主張を排斥して次の如く述べている。
「併しながら右法条(借地法第一〇條――筆者註)の立法趣旨は、建物の讓受人が、その敷地の借地権讓渡について賃貸人の承諾を得られない結果、讓受人としては賃貸人に対しその借地権を主張できない場合に、建物の收去をさけることにより建物讓受人の利益と社会経済上の利益とを併せ保護しようとする点にあるのであつて、右讓受人に敷地借地権についての補償迄得させる趣旨ではないから、同法条にいわゆる時価とは買取請求の目的である建物が現状のままで、すなわち取毀つものとしてではなくその建物自体として、有する価格のみを意味し、敷地借地権の価格はこれを包含しないものと解するのが相当である」
(同旨、昭和七年六月二日大審院判決、民集一一卷一三〇九頁。但し、昭和一三年八月二五日東京控訴院判決、新聞四〇二四號一六頁は、「建物ノ時價ハ所謂新築價格ニアラス取毀價格ニモアラス又所謂借地權利金(借地權利金ノ讓渡ヲ包含スル爲メ)ヲ伴フ建物ノ交換價格ニモアラスシテ現在アルカ儘ノ建物其ノモノノ利用價値ナルコト疑ナク斯ル時價ノ算定ニハ(中略)建物ノ利用ノ爲メニハ必然其ノ敷地ノ使用ヲ見ルモノナレハ敷地ノ使用ヲ考慮ノ中ニ入レスシテ建物ノ利用價格ヲ算出スルカ如キハ不能ノコトニ屬ス」と判示している)